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日本はどこへ行こうとしているのか?

日本はどこへ行こうとしているのか?

 日々の診療で多くの患者さんに接していると、今の医療介護制度の現状とその歪みに直面し、胸のつまる思いをすることがしばしばです。

 92歳男性、妻(86歳)が胃潰瘍による吐血で入院し、その後退院できず、自宅から遠い介護施設に入ったまま約10ヶ月。「思うように会いにも行けず、自炊もきつい。早く退院してきて欲しい」-。
頑張って自炊して暮らしている人に介護制度の手当は薄いのです。よろよろと立ち上がるご老人に、何のお手伝いができるのでしょうか。

 88歳女性 夫は骨折で入院し、約3ヶ月で自宅へ戻ってきましたが、以前よりはるかにADLは低下し、あらゆることに介助が必要に なりました。介護保険をフルに使って、デイケアー、デイサービス、ショートスティを利用しています。介護保険の制度によれば、まさにお手本のようなケース です。でも妻はいいます。「夜、紙おむつをしていても2時間ごとに換えてと起こされます。寝ていなくてもデイサービスの日はお迎えがくる時間までには、着替えをさせて、薬を飲ませ、送り出す支度が大変なのです。いっそ、サービスがなければゆっくり寝ていられるのに、と思ってしまいます。」-。
デイケアーに行っておられる間は、ご自分の体をいたわり少しでも寝るようにいうと、「その間に、年金の受け取りや、市役所の手続き、買出しと雑用が山積み でゆっくり休む暇はありません。」 介助者を助ける制度は介護保険にはありません。細い背中がいっそう細く、背は曲がって急速な老いを加速しています。今 の生活を倒れるまで続けよと国はいっているのでしょうか。

 うつ病の妻をかかえた76歳の男性。「三度の食事を食べさせるだけでもきつい。夜も眠らせてくれない。いつまで続くのでしょうか。もう限界です。
こういう事例は枚挙にいとまがありません。介護の狭間で悲鳴をあげている人達が大勢います。国は老骨に鞭打って、死ぬまで働けといっているのです。へとへとになるまで介護して、いつまで続くかわからない状況に将来を悲観し、殺してしまったり、心中したりと自分を追い込んでしまう結果になることもあります。何とか打つ手はないかと歯がゆい思いです。

 核家族化し、子供達は自分の生計を立てるのに精一杯、そういう現実の住環境のなかで、今後、孤独死、老々介護がさらに増加してくる のは目にみえています。当然虐待や介護放棄などの悲惨な事例は増えていくでしょう。そういうことが、衣食住の満ち足りたこの日本で許されていいのでしょう か?

 第2次世界大戦後の荒廃から復興し、豊かな生活、安定した暮らしを目指してきた日本であるはずです。平和を守り、世界に誇れる保険 制度をもち、高水準の教育制度と勤勉な国民性によって新しい国を築き上げてきました。その結果として、医療の進歩とあいまって長寿社会を実現できたので す。それは世界に誇れることです。しかし、この日本の目標とするところは、このような平和と繁栄の礎となって働いてきた人々に対して、年老いてなお孤独と忍耐を強いることだったのでしょうか?あまりにひどい仕打ちとしかいえません。

 高齢化予防の口腔ケアー、リハビリ、デイケアー、訪問看護、さまざまなプランが立案されています。それらは個々にみればりっぱなも のです。でも今の制度を立案しているかたがたは本当に国民の暮らしの現状がわかっておられるのだろうかと疑問に思うことがあります。責任逃れの目先の改革 ばかりに翻弄されている気がします。もっと大局から、日本の歩みを導いていっていただきたいのです。

 医療も介護も在宅へと導こうとしています。在宅を進めることで本当に家族に介護疲れがなく、豊かな人間らしい愛情を注がれる理想的 な医療、介護が実現するのでしょうか。そのような介護は、時間と体力のある介護者が存在してはじめて成り立つものです。今の核家族制度においては、ほんの 数%の家庭でしか実施できないのではないかと危惧します。

 “家族は愛情を、介護は専門職に”というモットーも聞こえます。多くの家庭では、そのスローガンが実現できるほど現実の生活にゆと りはありません。点数制で動く介護の生活にゆとりはありません。点数制で動く介護の専門職には時間や仕事内容の縛りが多く、実際は痒い所に手が届くわけで はありません。現に手に届かない背中にシップを貼ってもらいたいと頼んだら、そういう仕事は入っていませんと断られた94歳の男性のケースも知っています。日本人は“情”までも失っていっているのかと愕然としました。

 今、国が目指す方向は本当に国民の幸せにつながるものなのでしょうか?根本的なことから考えなおす時期がきていると思います。第2 次世界大戦後、資本主義にも共産主義にもほころびが出て、今それぞれの国が模索しているところです。日本も思い切った方向転換を考える時期ではないでしょ うか。国民の叡智を結集して、日本のよさを生かした新たな制度をつくり出せるはずです。

 個人的には、スウェーデンのような高負担、高福祉の社会はどうだろうと考えています。先日もテレビの報道で出ていましたが、ス ウェーデンでは国民や企業の税負担は大きいのですが、国民は貯金の必要性を感じていません。高い税金を払っても、それは国に貯金することと同じで、結局税 金は自分たちのために使われ、自分たちのためになることがわかっているからです。何かあれば国が支えてくれているという安心感があるのです。すべての人が 何らかの形で働くことができ、支えあい、何より国を信頼しているのです。

 国を頼れず、長生きするリスクを心配し貯金をしなければならない日本の現状とはずいぶん違っていました。貯蓄に励む分のお金が動け ば経済も活性化するはずです。もちろん世界に通用する産業を育成し国力を高めることも大切ですが、日本の技術力をもってすれば、今までやってこれたよう に、何とか世界に伍していけると思います。

 皆で働き、皆を支えあう社会、誰もが、それぞれの将来に希望をもちながら努力できる社会、それが実現できるためなら、高負担を考え ざるを得ないと思います。年をとってなお、生きていてよかった、生まれてきてよかったという社会、誰もが安心して暮らせる国にしなくてはなりません。

 今一度、いっさい頭を白紙にして、いろいろな知恵を出し合って今後の日本の進むべき方向性を考えてみようではありませんか?

 高負担であってもそれが自分に戻ってくるものであり、健康や生活への不安がなくなるものであれば誰でも喜んで負担に応じるものと考 えます。金だけ取って今のままでは国民は怒るでしょう。日本は第二次世界大戦後、戦争に直接縁がなかったから、そして医療が進歩したから少子高齢化したも のと考えます。それはすばらしいことであるはずです。

 今の日本で一番問題なのは若者にも、老人にも、誰にも夢がもてなくなっていることと将来への不安が増大し続けていることです。将来に夢をみることができれば現在の困難さにはいくらでも我慢できるのです。それをやるのが政府だと思うのですけれど・・・

2015-09-28 18:52:05

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